医療法人たばた小児科
〒355-0153
埼玉県比企郡吉見町久米田616-8
0493-54-8822
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子宮頸がん(HPV)ワクチンを接種していない方へ
「子宮頸がん」は、毎年約1万1千人の女性が発症し、約3千人が亡くなっているがんです。
このがんの特徴は、20歳代から40歳代の若い女性に多いことです。結婚して子どもが生まれて幸せいっぱいの、まさに人生これからという時に、突然襲いかかります。
生まれたばかりの赤ちゃんと夫を残して死んでいく若い女性がたくさんいます。手術で助かっても子宮を全部取らざるを得ず、もう子どもを産むことができない。子宮の部分切除ですんだけど、その影響で流産をくり返す。抗がん剤や放射線治療の後遺症に苦しんでいる。命が助かっても苦しんでいる女性がたくさんいます。
でも、このような実態は、今まであまり報道されてきませんでした。
『子宮頸がん(HPV)ワクチン』は、日本では12歳から16歳(小学6年生の4月から高校1年生の3月まで)の女性が公費(定期接種)で受けられます。
また、1997年4月2日から2008年4月1日までの間に生まれた女子に対しても、キャッチアップ接種(公費)が実施されています。
ただ、キャッチアップ接種の実施期間は2025年3月31日までとなっており、3回の接種を完了するためには半年程度要することを考慮すると、遅くとも今年の9月までに1回目の接種を始めないと、公費負担での接種は受けられなくなります。
自費で接種を受けるとなると、3回で約10万円かかります。とても高価なワクチンです。
体調を崩したり、年末年始や行事とぶつかってしまい、予定通り接種が進まない可能性も考えられます。
現在の高校1年生からキャッチアップ対象になっている27歳までの女性は、速やかに接種を開始してください。
ほとんどの子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が原因であり、ワクチン接種によってHPVへの感染を防ぐことで、子宮頸がんの罹患を予防できます。
言い換えると、全てのがんの中で、子宮頸がんはワクチンで予防できる唯一のがんなのです。
接種を受けないという選択肢はあり得ない、と私は思います。
日本でも、HPVワクチン接種は2013年4月から始まったのですが、痛みが強くて気分が悪くなったり、倒れたりする方が問題となり、何と接種開始からわずか2ヶ月ほどで、積極的な勧奨を差し控えるという異常な事態になってしまいました。
それから2022年3月まで、約9年間にわたり、日本ではHPVワクチン接種は事実上中止に近い状態が続きました。
2021年11月に、専門家の評価により「HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当」とされ、2022年4月から、他の定期接種と同様に、個別の勧奨が再開されました。
HPVワクチン接種が事実上中止になった背景を、私の知見から説明します。
このワクチンは日本で初めての筋肉注射でした。そのため、筋注に慣れていない一部の医師が、きちんとした説明をせずに接種したため、一定数の方に痛みに起因した副作用がみられたのでしょう。ここで、ワクチン反対派と名乗る連中が、この一時的な混乱につけ込んで厚労省に詰め寄りました。厚労省も毅然としていれば良かったのに、ワクチン反対派に押されて弱腰になり「積極的勧奨を差し控える」という情けない対応となりました。結果、中止ではないけれど事実上の中止が9年間も続くことになりました。
その後、ただ針を刺されただけで気分が悪くなったり倒れてしまう(これを血管迷走神経反射といいます)人がある一定数おり、ワクチンの薬液には関係ないことが判明しました。
そのためやっと、2022年4月からHPVワクチン接種が定期接種として小6から高1までで再開され、この9年間で接種の機会を逃していた方々を対象に、キャッチアップ接種も開始されました。ただし、期間は3年間限定です。
ここで、私の推察ですが、接種が再開された最も大きな理由を記しておきたいと思います。それは、このままHPVワクチン接種の勧奨を先延ばしにすると、「うちの娘が子宮頸がんになったのは、ワクチンがあることさえ知らせなかった国の責任だ」という訴訟が増えてくるであろうことを国が恐れたからでしょうね。
ワクチン反対派に押されてHPVワクチンは9年間宙ぶらりん。最後は訴訟を恐れて再開ですか。非常に残念な我が国の対応でしたね。
でも、この空白の9年間のせいで、多くの女性がこれから子宮頸がんを発症することになるであろうと考えると、この国(厚労省)の対応には大きな怒りを感じずにはいられません。国は猛省すべきだと思います。
昨年5月まで、新型コロナを2類感染症に据え置き、もはやただの風邪なのに今でもなお5類に据え置いて騒いでいる愚かな国です。せっかくのキャッチアップの3年という期間も、コロナ騒ぎににかき消され、気づけばあと半年ちょっとしか残されていないというのが現状です。
最後にもう一度言います。
一刻も早くHPVワクチン接種を始めましょう。
でないと、いろいろな意味で後悔することになると思いますよ。
もっと知りたい子宮頸がん予防https://www.shikyukeigan-yobo.jp子宮頸がん予防情報サイト
